自分を責めてしまうあなたへ
―「自己批判」から「セルフ・コンパッション」へ―
「もっと頑張らなければ」
「こんなこともできない自分はダメだ」
「どうして私はいつも失敗してしまうんだろう」
私たちは、何かうまくいかないことがあると、つい自分自身を責めてしまうことがあります。
けれども、自分を厳しく責めることが、必ずしも自分を成長させるとは限りません。
むしろ自己批判が続くと、心と身体は「自分から攻撃されている」ような状態になり、ストレス反応が強くなることがあります。
自己批判は、心身の「防御反応」を引き起こします
人間には、危険を感じたときに自分を守るための「脅威・防御システム」が備わっています。
このシステムは、外からの危険だけではなく、自分自身から向けられる厳しい言葉や批判にも反応します。
「失敗してしまった」
「もっとできたはずなのに」
「自分はダメだ」
そんなふうに自分を責め続けていると、不安や緊張が高まり、心身が疲れてしまうことがあります。
つまり、頑張るために自分を責めているつもりが、かえって自分を苦しい状態にしてしまうことがあるのです。
そこで大切になるのが「セルフ・コンパッション」
セルフ・コンパッションとは、簡単に言えば、
「苦しんでいる自分に対して、親しい人に接するように優しく接すること」
です。
セルフ・コンパッションには、次のような要素があります。
- 自分への優しさ
失敗した自分を責めるのではなく、いたわる。 - 共通の人間性
「失敗したり、悩んだりするのは自分だけではない」と理解する。 - マインドフルネス
今、自分が感じている苦しさや感情に気づき、必要以上に巻き込まれない。
これは「自分に甘くなる」ということではありません。
むしろ、苦しんでいる自分の状態を理解し、自分自身を支える力を育てていくことです。
「自分を責める」から「自分を支える」へ
たとえば、何か失敗をしたとき、
「どうしてこんなこともできないんだろう」
と自分を責める代わりに、
「今、私は失敗して落ち込んでいるんだな」
「頑張っていたからこそ、悔しいんだな」
「誰にでもうまくいかないことはある」
「今の自分に、少し優しくしてあげよう」
と声をかけてみる。
このように、自分への態度を少し変えてみることが、セルフ・コンパッションの第一歩です。
身体から「安心」をつくる方法
セルフ・コンパッションは、言葉だけではありません。
今回紹介されている「スージング・タッチ」では、胸に手を当てたり、自分の腕を優しく抱いたり、手で身体を包むように触れたりします。
大切なのは、決められた方法を正しく行うことではなく、自分が「少し安心できる」と感じる方法を見つけることです。
忙しい毎日の中で、ほんの少し立ち止まって、自分自身に触れながら、
「大丈夫。今は少し休んでもいいよ」
と自分に優しい言葉をかけてみる。
それだけでも、自分自身との関係を見直す小さなきっかけになります。
自分を責めることより、自分を支えること
私たちは、「自分に厳しくしなければ成長できない」と思ってしまうことがあります。
でも、本当に苦しいときに必要なのは、さらに自分を追い込むことではなく、安心して自分と向き合える環境をつくることなのかもしれません。
失敗したときも、思うようにできなかったときも、落ち込んだときも。
そんな自分に対して、親しい人にかけるような言葉を、自分自身にもかけてあげる。
「頑張っているね」
「つらかったね」
「大丈夫。ここからまた考えていこう」
セルフ・コンパッションは、そんな小さな優しさから始まります。
こんな方におすすめです
- つい自分を責めてしまう
- 失敗するといつまでも引きずってしまう
- 「もっと頑張らなければ」と自分を追い込んでしまう
- 他人には優しくできるのに、自分には厳しい
- 自分自身との付き合い方を見直したい
自分を責める毎日から、自分を支える毎日へ。
まずは今日一日、自分自身にかける言葉を少しだけ優しくしてみませんか。


